全ての電力を用いて機能するオール電化システムは、一軒家だけでなく、マンションでも導入されることがあります。
オール電化のマンションでの居住を検討されている方々にとって、これまでガスを使用していた経験がある場合、全てを電気で賄うことに疑問を持たれることもあるでしょう。
今回は、オール電化のマンションでの生活における利点と欠点について詳しくご説明いたします。
オール電化のマンション
オール電化の住宅は、様々な点で電気を利用することを特徴としています。
例えば、照明や家電だけでなく、キッチンや浴室での給湯、冷暖房など、住宅内のさまざまなエネルギー消費をすべて電気で sup>まかないます。
家庭におけるガスや灯油の使用を抑え、キッチンではIHクッキングヒーターが使われ、お風呂や洗濯、料理に使用するお湯は、安い深夜電力を活用してためておくことで、昼間に電気温水器を利用する仕組みが一般的です。
マンションの場合、住戸の内部だけでなく、共用部分におけるエネルギー消費も電気に依存しています。
例えば、エントランスの自動ドアやオートロック、共用スペースの照明、エレベーターなどがその典型です。
オール電化のマンションのメリット
電気だけを使って暖房や給湯を行うオール電化マンションには、様々な利点があります。
安全性が高い
オール電化は、火を使わないので火災のリスクが低いです。
例えば、他の住戸で火災が起きても延焼する心配が少なくなります。
しかし、IHコンロなどオール電化対応でない調理器具を使用すると火災の可能性があるため、使用するものをオール電化に合わせる必要があります。
マンションなどの集合住宅では、自分の住戸だけでなく他の住戸からの出火も心配です。
オール電化マンションではガス漏れによる火災や爆発のリスクがないため、安全性が高いです。
キッチンで火を使わないので火傷のリスクも少なく、料理中に火傷する心配がありません。
火に関する安全性が高いのは、オール電化マンションの大きな利点です。
電気は災害時に復旧が早い
災害時にライフラインが途絶えた際、都市ガスよりも電力が復旧しやすいと言われています。
これは、大規模な地震が発生した場合など、ガス管が損傷して修復や交換、ガス漏れの点検を行うには時間がかかるためです。
そのため、電気に比べて復旧が遅れる傾向があります。
一方、オール電化マンションは貯湯タンクを備えており、電気が復旧すれば、水道が止まっていても貯湯タンク内の水を生活用水として利用できます。
つまり、大地震などでガスと電気が使用不能になった場合、電気の復旧が早いため、オール電化マンションでは生活の継続が比較的スムーズに行えると言えるのです。
キッチン周りの掃除がしやすい
IHクッキングヒーターは、オール電化のキッチンで広く採用されています。
このIHクッキングヒーターは、天板が平らな構造をしているため、使用後のお掃除がしやすいのが特徴です。
そのため、日々の料理の後にサッと拭き上げるだけで汚れが簡単に落とせます。
これにより、キッチンの清潔さを保つのが容易になり、大きな利点となっています。
また、IHクッキングヒーターを使用することで火災の危険性が低くなるだけでなく、ガスコンロよりも熱の効率が高く、調理時間を短縮できる利点もあります。
さらに、IHクッキングヒーターは熱が室温に影響されにくいため、真夏でも快適に料理をすることができます。
これらの利点から、IHクッキングヒーターは多くの方に選ばれています。
オール電化のマンションのデメリット
オール電化のマンションには、多くの利点がありますが、同時にいくつかの欠点も存在しています。
住んでから後悔しないよう、入居前にそれらを把握しておくことが重要です。
お湯の水圧や量が足りないことがある
オール電化のマンションには、電気でお湯を生成するために貯水タンクが使われています。
通常、お湯を出す際には、ガスで加熱したお湯は水道の水圧を利用して蛇口から供給されますが、貯水タンクからのお湯はそのような水圧はありません。
そのため、お湯の出がゆっくりと感じられることがあります。
このような場合、「マンションの規模によって、1戸あたりの貯水タンクの容量が異なります。
タンクの容量が少ないと、使用方法によってはお湯が途切れる可能性がある」のです。
停電に弱い
オール電化のマンションでは、住宅の機能をほとんど電気で賄っています。
しかし、災害が発生したり予期せぬ事故が起こった場合など、停電になると調理やお湯を沸かすなどの生活面で支障が出る可能性があります。
そこで、非常時に備えて、カセット式のガスコンロなどの電力以外のエネルギーで動く機器を用意しておくことが重要です。
これによって、停電時でも調理やお湯の確保などをスムーズに行うことができ、より安心して生活することができます。
電力自由化が選択できない場合もある
マンションにおいて、各住戸が個別に電力会社と契約するのではなく、マンション全体で一つの電力会社と契約をする高圧一括受電方式が採用されることがあります。
この方式では、住戸ごとではなくマンション全体で電力を供給しているため、利用できる電力会社が限られてしまうことがあります。
そのため、電気の単価が安くなるというメリットがある一方で、個別に他の電力会社を選ぶことができないため、電力自由化の恩恵を受けることが難しくなります。
一方、この高圧一括受電方式は、電気とガスを併用するマンションだけでなく、電気のみを使用するオール電化マンションでも採用されることがあります。
しかし、オール電化マンションの場合、個別に電力会社を選択することができないという影響はより深刻です。
なぜなら、電気が唯一のエネルギー源となっているため、電力会社の選択肢が制限されると、料金やサービス面で不利な状況に陥る可能性があるからです。
使用できる調理器具が限定される
IHクッキングヒーターを使用する際には、使える鍋と使えない鍋がありますので注意が必要です。
例えば、鍋底が平らでないものや脚がついている鍋は使用できませんし、IHクッキングヒーターの種類によって使用できる鍋の素材も異なります。
お気に入りの鍋やフライパンがあっても、IHクッキングヒーターに対応していない場合は新しいものを購入する必要があるかもしれません。
オール電化マンションは売れない?
オール電化マンションとは、電気を使用して暖房や給湯などのエネルギーを賄うマンションのことを指します。
しかし、中には「オール電化マンションは需要が低い」という考えを持つ人もいます。
世界情勢の影響で電気料金が高騰
最近の一般的な分譲マンションでは、オール電化が減少している理由について考えてみましょう。
かつては、オール電化マンションが人気を集めていました。
その理由の一つは、ガスと電気を併用するよりも、電気の方が光熱費を抑えることができたことです。
しかし、最近では世界情勢の影響などにより、電気料金が高騰しています。
このため、オール電化マンションのランニングコストが高いという点で敬遠される傾向が見られます。
さらに、災害時には停電が発生する可能性があります。
このような場合、インフラが電気に依存しているオール電化マンションでは、生活の機能が一時停止してしまうという脆弱性も指摘されています。
これらの要因を考えると、将来的な売却を考えた際にオール電化マンションが不利になる可能性があります。
しかし、一方で、オール電化マンションには火災リスクの低さや、災害時の電気供給の速さという利点もあります。
安心して快適に暮らし、将来的な売却もしやすい物件を選ぶためには、電気料金や災害時の対応など、様々な要素に注意を払うことが大切です。
オール電化マンションの弱点が露呈
オール電化マンションの販売が伸び悩む主な理由は、災害時の脆弱性が明らかになったことです。
2011年の東日本大震災では、多くの地域で長期間にわたる停電が発生し、完全に電力に依存していたオール電化住宅は生活基盤が崩壊する事態に直面しました。
一方、電気とガスを併用する住宅では、停電時でもガスを使用できるため、暖房や調理などの生活機能を維持することができます。
そのため、停電による影響を最小限に抑えられると言えます。
さらに、計画停電が導入されたことも、オール電化住宅にとって打撃となりました。
東日本大震災以降、電気に完全依存せずにガスを活用する方向にシフトする動きが見られ、ガスの需要が高まり、逆にオール電化の需要が低下した結果となっています。
まとめ
オール電化マンションがなかなか売れない理由や利点、欠点についてお話ししました。
なぜ「オール電化マンションが売れない」と言われるのかについて、実際には東日本大震災の際にオール電化住宅が露呈した脆弱性が一因とされます。
ただし、最近ではそのイメージはかなり払拭されており、需要も復活していますので、ただでさえオール電化であるからといって心配する必要はないでしょう。
オール電化の欠点も工夫次第で対策が可能であり、その利点も見逃してはいけません。
この記事を参考に、オール電化マンションの欠点に対処し、売却を目指していきましょう。